自称オタク出身、ロスジェネ世代・精神科医(シロクマ先生)、熊代 亨の一冊。
象徴的な言葉に「思春期ゾンビ」というものが提示されている。いつまでも若々しいままで、若さにしがみついて、若くないものは悪しきもの、とでもいうような、思春期を引き摺ったままのコトを言う。
老害という言葉もよく言われるが、老年世代に限らず、どの世代にも明け渡しが必要であり、思春期を引き摺ったままの壮年〜老年期が居座っていると、若い世代の居場所がないというのだ。
人はいつまでも若いままではいられない。それにも関わらず世の中は、若いままであれという。
生きづらいと言われる今の日本。
この時代の空気はどうやって作られたのか、オタク出身の精神科医の視点で、家庭環境や個人の価値観の変遷、ソーシャル・メディアの特性なども絡めて考察されていく。
ロスジェネと銘打っているし、アニメやゲームなどに絡めたオタクな話題が多いが、この世代に向けた本とは感じなかった。それ以外の世代にも、20世紀末〜21世紀初めの日本の価値観・家庭環境を理解するにも充分に役立つだろう。
また、自身の自己愛欲求の満たし方を客観視できるというのは、特に自分に酔いやすい人にとっては目が醒めるような感じがするかもしれない。広い世代に読まれるべき本であると思う。
僕自身が同じ世代だというのもあると思うが、とても読みやすい文章で、トントンと読めた。
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